制作:ウーゴ・トゥッチ、ファブリーゾ・デ・アンジェリス
監督:ルチオ・フルチ
脚本:エリア・ブリガンディ
出演:イアン・マッカロック、ティサ・ファーロ、リチャード・ジョンソン、オルガ・カルトラズ
あらすじ
ある日、ニューヨーク湾内で奇妙な事件が発生した。漂流中のクルーザー内に踏み込んだ警備船の警官2名が、全身腐乱した男に襲われたのである。男に噛まれた警官1人が犠牲となり、男は全身に銃弾を打ち込まれて海中に姿を消した。クルーザーの持ち主の娘であるアン・ボールズ(ティサ・ファロー)と新聞記者ピーター・ウェスト(イアン・マカロック)は、アメリカ人夫婦ブライアンとスーザンのクルーザーに同乗し、アンの父親がいるはずのカリブ海に浮かぶマトゥール島へ向かう。だがそこは、死んだ者が蘇って生者を貪り喰い、噛まれた被害者もゾンビになる恐るべき魔境と化していた。島の診療所で研究を続けるメナード医師の妻ポーラとスーザンはゾンビに喰い殺され、何とかメナード医師の診療所に戻ったピーター達も次々と蘇るゾンビに追い詰められてゆく。メナード医師、使用人ルーカス、看護婦ミッセイが次々にゾンビに襲われる中、銃と即製の火炎瓶を使いピーターとアン、ブライアンは辛うじて島を脱出するが、船倉ではゾンビ化したスーザンに噛まれたブライアンが蘇り、ニューヨークでも腐乱した男に殺された警官からゾンビの増殖が始まっていた。
見どころ
イタリアンホラーの巨匠ルチオ・フルチの代表作にして、唯一の日本劇場公開作品。当時、原題「ZOMBIE」は、同じ時期に公開されているジョージ・A・ロメロの「Dawn of the Dead」邦題「ゾンビ」から来ている。冒頭、クルーザーで布にくるまれた死体が起き上がるシーンなど、ロメロゾンビのオマージュを感じさせつつも、腐乱した姿のゾンビなど、ロメロゾンビ以上の不快感を感じさせる姿をしていたり、残虐なシーンが描かれている。それでもただのパクリと受け取らず根強いファンが存在するのは、これでもかというくらいのグロテスクな表現は一役買っているのではないかと思う。今でも語り継がれる名場面で、水中でサメを捕食するゾンビによって、腐乱してるけど、めちゃ強いゾンビという、ロメロゾンビ以上の凶暴性がゾンビエッセンスとして追加されている。当時は斬新だったかもしれないが、今ではホラーあるあるに出てきそうな演出も多数あり、ホラーの歴史を感じながら見たい作品だ。
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