【映画】ランド・オブ・ザ・デッド(’05)アメリカ 原題:LAND OF THE DAED(死者の国)

映画

制作:マーク・キャントン、バーニー・ゴールドマン
ピーター・グルンウォルド
監督/脚本:ジョージ・A・ロメロ
音楽:ラインホルト・ハイル、ジョニー・クリメック
撮影:ミロスラフ・バシャック
出演:サイモン・ベーカー、ジョン・レグザイモ、デニス・ホッパー、アーシア・アルジェント、ロバート・ジョイ、ユージン・クラーク


あらすじ
近未来、ゾンビが地球上に蔓延するようになった世界。生き残った人々は、三方を川に囲まれたペンシルベニア州ピッツバーグのダウンタウンに防御フェンスを敷いて町を築き、高層ビルに暮らす富裕層とスラムに住む貧民に別れて暮らしていた。物資調達部隊の傭兵隊長ライリーは町を牛耳る権力者のカウフマンから、ライリーの部下であるチョロが装甲車デッド・リコニング号を乗っ取り、町の爆破を予告したと伝えられる。ライリーは北へ向かうための脱出用の車を条件としてチョロの殺害に向かうが、同じ頃には自我を持つゾンビ、ビッグ・ダディに率いられたゾンビたちが町を目指して川を渡りつつあった。
予告編:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00I8CF980/ref=atv_dp_share_cu_r


概要
ジョージ・A・ロメロが、約20年ぶりにメガホンをとった作品。残虐性の裏にあるテーマは、過去の作品でロメロが提唱してきた「世界事情(戦争・紛争など)の他方向からのアプローチ」であり、一握りの強者が多数の弱者を力で押さえ込もうとする覇権主義の姿を色濃く取り入れている。作中では明らかにされていないが、時系列上ではゾンビ発生から3年後であり、ピッツバーグで復活した共和党が作った都市が舞台である。


みどころ
死霊のえじきの制作費$3,500,000、ランドオブザリビングデット$15,000,000と桁違いの費用を費やした作品。セットや特殊効果も、死霊のえじきまでと違いダイナミックに描かれている。

※サイモン・ベーカー
主演には、TVシリーズ「メンタリスト」のサイモン・ベーカーや、デニス・ホッパー(地獄も黙示録など)を起用するほか、ダリオ・アルジェントの娘アーシア・アルジェントが起用されている。トム・サビーニが、「ゾンビ(’79)」で演じた暴走族のリーダーがゾンビ化した姿として登場してくるのも見どころの一つだ。

※デニス・ホッパー

※アーシア・アルジェント



今作のもっとも大きな特徴として、知能もってリーダーシップを発揮するゾンビ「ビッグダディ」の存在がある。※写真中央の黒人ゾンビ。ビッグダディーによってマシンガンの使い方を覚える「ナンバー9」など、個性的なゾンビ軍を率い、人間が住む構想タワーに乗り込んでいく。他のゾンビが人間に倒されていくことに感情を表現したり、人間の中でも、強欲の塊である富豪カウフマン(デニス・ホッパー)に執着したりと、前作までの、動物的な単純な行動しかとれないゾンビと違い、知性と人間性を感じさせる。物語の世界感として、人間界の中に高層タワーで豪遊する富裕層と、構想タワーの下にあるスラムに暮らす貧民層、高層タワーのある島から海を隔てた僻地にゾンビの世界が広がる3層構造になっているのだが、知性と感情をもったゾンビが自分たちの居場所を探そうとするエンディングから、単純な、ゾンビ対人間ではなく、人間を多様にとらえて社会風刺したメッセージ性も感じられる。


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